キャリーバッグ ふれあいコミュニケーション
帰宅するとすぐさまにぎやかな声が聞こえてきた。
確かめなくたってわかってる。
きっと和也だ。
部屋に戻るのにリビングに入ったのにべったり子猫みたいにくっついて抱き合ってるから全く気付く様子もない。
俺は着替えを済ませ喉を潤してから下へと降りて行った。
<きゃはは…。>
『ガウーッ!』
<何…ゴリラ…?>
前は俺にしょっちゅう見せていた顎出しゴリラ。
全然見せてくれなくなって、こうして弟には見せてるし、じゃれ合ってる。
でもだからって怒ったりしない。
だって…ふふっ…
「キャリーケースか…もうすぐ二年だもんな…。」
<あれっ、翔兄お帰り。>
『翔くん…お帰り。』
静かにそう言って俺から視線を逸らす。
照れてるんだ。
クス…もう知ってるもんね。
<何笑ってんのさ…?>
「いや…買い物は俺も付き合ってやるよ。」
<ええーっ!>
「なんだよ。」
<せっかくさと兄と二人でお出かけなのに…。>
「じゃあ、もうめぼしはついてんのか…?」
<…全然。>
「俺がリサーチしといてやるよ。 希望は…?」
<一応最新のでシンプルなのがいい。>
「わかった。 お店を調べておいてやるから…。」
<お店知ってるのっ?>
「知ってるって…お前どこに行く気だったんだよ。」
和也がへへっとごまかす。
きっと何も考えてなかったったに違いない。
『なんか…翔くんに全部お願いした方がいいみたいだね。
じゃあ俺は…。』
<ええっ。>
『智くんも一緒に行こうよ。』
<そうだよ。 何のために出かけるかわからないじゃん。>
「なんのためってキャリーバッグを探しに行くんじゃないのか…。」
<それもあるけどさぁ…。>
そう言って智くんにぴったりとくっつく。
智くんもされるがままで突き放したリしない。
<一緒にご飯食べようよ。>
『…。』
<ねっ?>
「うん…わかった。」
<じゃあ決まり…。>
そういうと和也はソファーから飛び起きて二階へと上がっていった。
後に残されたのは…
「にいやんと出かけられてうれしいんだ。
ほんと和也は甘え上手だよな…。」
『…。』
「何…?」
『ううん、何でもない。 じゃあ…俺も…。』
そう言って逃げようとするのを捕まえる。
『はっ…離して…。』
「なんで…?」
『なんでって…。』
「俺、帰ったばっかりなのに一人ぼっちにする気…?」
『一人ぼっちって…。』
「俺一人でここにいんの…?」
『はっ? 部屋に戻ればいいじゃん。』
!
名案だ。
「じゃあ、智くんが俺の部屋に来てくれるんだ…?」
『はっ?』
「俺はそれでも大歓迎だけど…。」
『あっ…わっ…。』
「何…? 言葉になってないよ。」
動揺する智くんをそのままに、俺はゆっくりとソファーに腰を下ろした。
智くんに座るように促すと観念して横に座る。
そして…
俺は横に腰かけた愛しい人の髪を繋いでいない方の手で撫でた。
サラサラとして綺麗。
髪だけじゃない。
「前から思ってたけど…。」
『…?』
「きれいな手だよな。」
『!』
智くんが驚いたように繋がれた手を見る。
クス…
そっちじゃなくって…
「出して…。」
俺もさっきまで智くんの髪をなでていた方の手を前に挙げた。
並べると違いがはっきりする。
智くんの手は指が細くて女性みたいに綺麗なんだ。
「手も綺麗だけど爪まで綺麗だね…。」
『そう…。』
「俺、丸っこいでしょ…?」
『まだ噛んでんの…?』
「気が付いたらやっちまってる。
おかげで弾くときは邪魔にならないんだけど…。」
人に見られると恥ずかしい。
テレビとかで手元を大写しにされることがないからまだいいけど、そのうち気づかれそうだ。
その前に何とか直したいんだけどな…
『困ってないんだったらいいんじゃない。』
「適当だな…。」
『そんなことないよ。』
「ニットとかに引っかけたりしちゃうんだ。」
『やすりで研いだら…?』
「爪切りの…?」
そんなことを言ったら智くんがすこし驚いた。
そして笑う。
ドキーンッ!
『翔くんて丁寧なんだかズボラなんだかわかんないね。』
あ/////。
『どうかしたの…?』
「いや…。」
『やすりならちょうどいいから買い物行ったとき買おうよ。』
「そうだね…。」
わざとじゃないから始末に負えない。
それでも…
今はこれでいい。
このほんわりと優しい時間を大切にしたいと思った。
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